オーダー頂いてから早数ヶ月と、随分お待たせしてしまいましたが、
EBSのTurnが今また一台、街に飛び出しました。
お子さんと一緒に出掛ける為、という目的でのご依頼でしたので、
リアキャリアはYeppのチャイルドシートを
ダイレクトマウント出来る様に製作し、
重心をなるべく低く抑えて扱い易さ=安全性をブラッシュアップ。
更にスタンドはオプションの
両立てスタンドで、不安感無くガチッと直立。
これでお子さんを乗せ降ろしする際に「自転車倒れない?」という心配激減。
子供を乗せて移動するだけなら、ママチャリが最も効率的な選択ですが、
「母として求める使い勝手」と
「個人として求める趣味性」を両立させるとなると、
こういった
「作ってしまう系」の一台も、中々良い線行ってるのではないでしょうか。
さて、母には母の「答」がある訳ですが、
母になる前のレディーには、やはりレディーなりの「答」があるはず。
それはどんなモノか?と問われましたならば、
「ドン!」と提示したいのが此方のソリッド過ぎる一台。
Bombtrack Oxbridge-women ¥105,000(税別)
ママチャリ・・・と言えばママチャリスタイルなのですが、
否が応にも滲み出てしまうシャープさは、「ママ」とは無縁のそれ。
何せ素材が
フルクロモリ。
通常、この手のフレームはハイテン鋼か、
良くてダウンチューブだけクロモリなど。
その点、此方は全てクロモリ鋼、
フレームは勿論、フォークもクロモリ。
フロントハブはシールカートリッジベアリングのボルトオンタイプで、
穴数が32H、では無くてヒィ、フゥ、ミィ、ヨォ・・・
28H!攻めてます。
クラシックテイストのエグリクランクから、スッと一直線に伸びるチェーン。
ママチャリでもシングルスピードはシングルスピードなのですが、
全く違う様に見えるのは何故でしょう?38tリングの所為なのか?
いや、此奴はシングルに見えますが、
実はシングルスピードではありません。
なんとSramの
自動2段変速ハブ、
「Automatix」が装備されているのです。
漕ぎ出しは38x18t=ギア比2.11と、
シングルとしては基本的な重さですが・・・。
速度が乗って来て「足が回り切りそうだなぁ~」という辺りまで来ると、
自動的に「カシャン」とギアが重くなり、そのままスイスイとクルージング出来てしまう。
二段変速というシンプルな機構の為か、内装変速で多く見られる引き摺り抵抗も少なく、
意外なまでにスポーティーなフィーリングを得られる、なのに見た目はあくまでスマート。
クイル式のステムは仕上げも美しく、ハンドルにはブランド刻印
(印字じゃない!)が施され、
車体同色に塗られたフルフェンダーは
アルミ製であるなどなど実に隙が無い。
ついでにヘッドセットは
FSAのシールカートリッジ式で、
BBは開けてビックリ、
タンゲ製品が出て来るというダメ押しっぷり。
チェーンケースも無い、スタンド台座も無い、キャリアダボも無い、
気を抜いてダラリと乗る為の便利装備は何も無い。
しかし、だからこそ他には無い「華」がある。
こういった練り込まれた車両をですね、小股の切れ上がったチャンネーが、
シューっと乗りこなし颯爽と駆け抜けたなら・・・目で追ってまいますよ絶対。
でも、こういった車両を欲しがる素敵な
(from男性目線)レディーなんてのは、
この世にそうそう居るモンでは無く、実際に興味を占めすのは、
髭が暑苦しいオッサンばかりなんだろうなぁ、とも。
他のメーカーがこういった練り込まれた切れ味鋭い車両を出さないのは、
「売れる気がしない」という当然過ぎるほど当然な理由からでしょう。
今回のオックスブリッジウーマンが生まれたのは、何かの間違いからだと思いますが、
奇縁あり弊店に来た稀少な一台、いつか素敵なレディーと出会う事を祈るばかりです。