降ったり止んだりの小雨に湿り、
セッセと上るは花背峠。
上り切った所で気温計12℃。
雨雲なのか霧なのか、周り一体ガス地帯、
すぐそこの鉄塔さえ見えたり見えなんだり。
風も吹くもんで、シャツ一枚ではスカスカするけど、
暑いよりかはズッとええさ、最高さ。
峠からは、本道を逸れ、
北の山の中へ伸びる
大見尾根へ。
百井の奥にある大見集落と鞍馬を結ぶ旧道なので、
人気も無ければ、舗装されている訳も無く、
霧が出ている事もあり、何の物音もしない。
50年前は、100年前は、
この道を人が行き交う風景もあったろうが、
少なくともモータリゼーションとは無関係そうな道。
そんな未舗装路に対応したマッシーン、
マイ「
EBS ニードル」。
MTBでは舌が出る花脊峠を、
ロード並とまでは行かぬが、まぁスイスイと。
ロードではまさか走れぬ旧道を、
MTB並とまでは行かぬが、まぁトコトコと。
クロスバイクは、仕上げ方次第で最高の道具に成り得るってのはホント。
少なくとも自分にとっては。
道と言うのはそもそも、通って便利な為にあり、
通って便利では無い道は、然程必要とされず、
道の抜け殻となって、横たわっているだけ。
類は友を呼ぶ方式で、車だったモノや、
家電だったモノ、その他のモノが其処此処に。
ノンビリ座り込んでると、自分も根が生えそう。
岩だらけの路面が、やがて穏やかな路面になり、
川に沿う様になれば、集落はもうすぐそこ。
集落に出る手前の
シコブチ神社は荒れに荒れ、
鳥居も、鳥居なのか何なのか分からないほど。
それでも、誰も彼もが、
このシコブチさんを忘れた訳では無さそうで、
小さな祠は残り、堤燈が掛けられている。
堤燈に何故か「
定食」と書いてあるのはご愛嬌。
何で定食屋の堤燈が使われているのかってのは、
集落に出てみれば何となく分かる。
そこには人の気配が殆ど無い、
この先再び人が増える事も無さそうな、
消え行く土地だから。
豪華に祀る人員も余裕も何処にも無い。
けど、それでも心の底に、
染み込んだ「シコブチさん」はやはり在る。
だから、出来る範囲で、お祀りする。
「宗教や信仰の、損得や過信ではない形なのかしらん?」
なんて想い馳せる、良いお湿りで御座いました。