はい、と言う訳でSalsaの戦略モデルである
Timberjackをチョイと乗って来ましたので、
その内容というか正体というかを簡潔に纏めてみたいと思います。
思いはするのですが・・・纏まりません。
乗れば乗るほど「はっは~ぁ」と感じる所があるも、
その情報を頭で咀嚼するとグチャグチャになりで。
「凄くよく走ります!ハンドリングもキレキレです!」
的な言い回しでお茶を濁せれば良いのですが、
ん~・・・違う、根本的に何かが違う。
何も考えずにパッと乗れば極自然に走り出します。
普通に座って漕いでいる限りはクセもありません。
しかしこの
「クセがない」という所が変。
セミファットたる27.5+ホイルの車両は、
クセが強い物が多い傾向にあり、
その殆どはトレイルの下りで気を吐くモノ。
そんな中にあってティンバージャックは、
ヘッドは寝過ぎていない68°ですし、
何よりBB下がりが58mmと相当低い。
近年のトレイルバイクのトレンドである、
「ロングフォーク&ベタベタに寝たヘッド」
とは方向性が違う事は確実な訳ですが、
じゃぁ下りで不安を覚えるかというと・・・。
不安なぞ欠片も感じさせず、
ただハンドルを握っているだけで、
ジェットコースターの様に下って行きます。
この下りでの安定感を生んでいるのはおそらく、
Sサイズ&120mmサスで実測約690mmという、
異様に長いフロントセンターでしょう。
林道を漕ぎ行くシーンでは低いBBと相まって、
体がズッポリと車体に嵌り込んだ様に錯覚します。
何と言うか・・・人間ミッドシップ、みたいな?
故にダブトラを漕いで行く際にも、
近年のトレイルバイク的なノリではなく、
一昔前のXCバイク的なノリのマイルド版が近い。
要するに。
とてもとても乗り易くフレンドリーなMTB、
それがティンバージャックの本質でしょう。
文字で書くと没個性的な印象が残りますが、
この乗り易さ・フレンドリーさこそが、
Salsaの戦略モデルたるポイントです。
ユーザー層だけでなく、我々販売店や代理店担当者も含め、
「Salsaはフレームから組むクロモリブランド」という旧来のイメージが強いですが、
本国では初代エルマリアッチ完成車の成功以降、完成車ブランドへと舵が切られ、
今ではトレックやスペシャと直接対決する様なブランドへと変化しています。
その現在のSalsaの中でティンバージャックが担わされたのは、
「まずユーザーにMTBを楽しんで貰う事」なのではないでしょうか。
例えばオフロードを含めたツーリングをバイクパッキングでのんびりこなし、
シングルトラックやハードなトレイルも恐怖感を感じさせる事無く、
楽しみだけをユーザーに提供するといった
間口の広さ。
MTBは年々進化をしてはいますが、
それは言い換えると「特化」であり、
嘗てMTBが持っていた万能性は、
余剰として切り捨てられて来た感も。
その万能性を今一度引き戻す事で、
Salsaの世界観に興味を持つ切欠とする、
きっとそれがティンバージャックの使命。
軽いです、乗り易いです、よく走ります、
楽です、安定感あります、よく曲がります。
ではティンバージャックの
ネガな点とは?
シッティングとダンシングの差が大きく、
アクセルOn/Offのメリハリが曖昧で、
刺激が少ないってな辺りになりましょうか。
とは言え、今回の試乗車は
Sサイズと自分にはあまりに小さく、
コレがMサイズやLサイズであったなら、また印象も大きく違ったはずでしょうし、
そもそもそういったグダグダ言う人間を対象にしたモデルでは無いですしね。
そんなこんなな戦略モデル。
Salsaが提案する世界観の入り口として、
パックリと口を開けて構えています。
もしかしたらこのティンバージャックが、
再びMTBブームを起こすやもしれません。
まぁ細かい事は置いといて、
暇がある人は試乗車に乗ってみて下さい。