三連休の初日たる本日18日土曜日。
少々霞がかかっているもののまずまずの好天で、
春開幕に浮かれ走り出すサイクリストも多かろう、
そう予想しながら走るも、人と殆ど出会いません。
花粉症の影響はそれ程深刻なのでしょうか?
いや、人と出会わないのはそういった理由ではなく、
「走っている場所が林道だから」というのが正解。
今弊店が最も注目している完成車である、
独
Bombtrack社のグラベルロード
「Hook2」。
此奴の如何なるモノかを試すべく、
「遊ンデクレ~」と縋る息子を袖にして、
試乗車に跨り山の方へとデッパツです。
各部を嘗め回す様に見ている内は、
φ42mmという大径ダウンチューブと、
約10.5kgという完成車重量に、
「ガチッと硬い系ですかね?」と予想しましたが。
実際に乗ってみると案外硬い事も無く、
「へぇ~」てなモンです。
シッティングで踏んでいる内は、
スルーアクスルらしいビシッとした芯があり、
少し重めのギアを踏んでもスッとペダルが落ちる、
大径BB(PF30)らしい今時なフィーリングですが、
立って少し無理目に踏み込んでみると、
底で少ししなるという鉄らしさもホンノリあり。
基本的にはガッチリ系なのですが、
廃道程度の凸凹はタイヤが全ていなしてくれます。
鉄らしさがよりハッキリ顔を出すのは、
シングルトラックに入った時で、
路面からの一発一発の衝撃というよりも、
ヒョイと浮いてストンと着地する、
この瞬間の衝撃の角が丸い点をして、
「あ~、鉄やな~」としみじみ実感。
まぁ「シングルトラック走るならMTBで」てな話ですが、
コレがですね・・・面白いんですよ、Hook2。
「なんとか走れる」ではなく
「ガツガツ行ける」感じ。
我が愛車であるNiner/RLT9とは根本的に違う。
その違いの源泉は何処かと言うと、
一つに
BB下がり60mmと相当高い点で、
72°というニュートラルなヘッド角と相まって、
とにかくクイックに自在に動くのです。
またシート角も74°とかなり立ち気味な事もあり、
座ったり立ったりの行き来がし易く、
目まぐるしく変わるシングルトラックの地形に、
MTBの様な積極性でもって挑めるのですね。
となって来ると、もう思いは一つ。
「此奴は自分の思うグラベルロードでは無い」。
ワタクシにとってのグラベルロードの定義は、
「未舗装道路を走る事に特化している」という事で、
極端に安定性の強いハンドリングで、
砂利道でもスラローム切れちゃう、みたいな感じ。
しかしHook2にはそういった極端な味付けは無く、
寧ろクイックと言える程に鋭く、
頭からキュン!と曲がって行く印象が強いですから。
この運動性能の高さ・クイックネスを思うと、
「ディスク・シクロ」に仕分けるべきかと思うけど、
下りでシクロ車らしい不安定さが出る事は無い。
ならその安定性は何処から生まれるのか?というと、
恐らくフロントセンターの長さ、そこがポイントでしょう。
ただでさえジャンル分けがし辛い、
ディスクロード・ディスクシクロ・グラベルロード。
その中でHook2はどれに近いかと言うと・・・混迷。
「延々続く未舗装道路をブッ飛ばし続ける」事を目的に生まれたグラベルロード。
当然、そんな道は京都には無い訳ですが「道を選ばぬ万能サイクリング車」として、
ワタクシのニーズに合致し、実際にRLT9は乗っても乗っても飽きる事はありません。
しかし国や使用状況が違えば、解釈も答もまた違って来て当然で、
自転車大国ドイツのボムトラックが出した答は、やはりボムトラックなりの「色」が強く、
なんとも・・・面白いなぁと思わせてくれる一台です。
Hook2、とてもとてもよく走ります。
ロードの様なスパッとしたキレは望めませんが、
漕げば漕ぐだけ
尻を叩いて来ると言うか、
「ドンドン行こう!」みたいな気にさせます。
下りは剛性の高さと太いタイヤを武器に、
路面状況を問わずギュンギュン曲がり、
オートバイの様に攻め込みたくなります。
結果としてワタクシ・・・もうヘロヘロ。
Salsa/Warbirdの様な「疲れた時に助けてくれる系」ではないし、
同じくSalsaのVayaの様な「疲れさせない系」でもありませんので、
ブルベの様な使い方には向かんだろうなぁ、と思います。
じゃぁどんな人にHook2は向くのかと言うと・・・。
①基本MTBライダーだけれど、もっと速く遠くへ移動して林道を駆け抜けたい人。
②一台でモーニングライドもツーリングもOK、なんならシクロレースでも前に出たい人。
そんな感じでしょうかね?
まぁしかし見ると乗るでは全然違う、想像以上の個性を持った一台だった訳ですが、
借り物に乗っている感覚ではなく、自分の車両に乗っている様な馴染みっぷりだったのは、
帰って来てから気付かされたBombtrack完成車の恐ろしさですよ、ええ。