井戸端監視カメラ



プラス規格戦国絵巻 後編。

昨日の続き。

ファットバイクというと「太いタイヤである事が全て」と思われる事もあるかもしれませんが、
ファット最大のミソはタイヤが太い事に加え「薄く軽い」という点。

薄いと当然タイヤのヨレが出るので、それを抑える為にリムも極太に拡幅し、
結果として内包した空気のクッション性&トラクションを最大限活かせる、
それがファットバイクをファットバイク足らしめているポイントでありましょう。


なのでセミファットと呼ばれる「29+」のタイヤ幅が3インチであるとは言っても、
それはDHで使われる様な重く高剛性な其れとは全く違い、
シングルトラックを漕ぎ進める様な時にこそ力を発揮するモノでありました。
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同時にタイヤ外径が巨大化した事で、
路面の凹凸から受ける抵抗は激減し、
見た目からは想像も出来ない様な、
「速さ」を示した29+。

それはファットの亜流ではなく、
完全に新しい価値を与えてくれました。

「圧倒的な乗り越え性とグリップ&乗り心地」というと、一番向きそうなジャンルは、
アドベンチャーツーリング的なユッタリした一台だと思うのですが、
敢えて「クイックなトレイルバイク」であるクランパスで初陣を切った辺りに、
Surlyの一筋縄では行かない「心意気」みたいなモノを観じます。


で、その新規格29+を採用した一発目が気合の入ったトレイルバイクという事で、
フルサスやカーボンの様な最新スペックモデルとはまた違う、
それでいて強烈に面白い走行感を味わわせてくれはしたモノの。

クランパスを真正面から歓迎したフルリジッド愛好家だけでなく、
普通にMTBが好きな人々をも魅了してしまい、
ハイスペックバイクをリリースするマスプロメーカーからも、
29+規格の車両がリリースされる事になって行きました。

セミファットはMTBの本道に乗り始めたのです。
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そうなると29+の問題点が頭を擡げます。

共にホイルが巨大である事に起因する、
「ジオメトリの自由度が低い」事と、
「サスペンションフォークが使えない」という2点。

これを解決するにはホイルを小さくするか、
人類が巨大化するかしか方法がありません。

そこで一般的な26インチをセミファット化した、
「26+」を提案してきました。

「26インチ径 x 幅2.75インチ」
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29+が3インチ幅だったのに対し、
26+が2.75インチ幅という数字なのは、
「既存のサスフォークにギリギリ入る」
という狙いがあっての事。

26+のタイヤ外径は「27.5x2.1」に近く、
様々なサイズ展開&味付けが可能な上、
サスペンションを使えるという事で、
一気に花開く!・・・かと思われたが。

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29+が見せた「圧倒的に新しい世界観」の後では、
26+の動きは一部新鮮味がありはするモノの、
反対に転がりや漕ぎのスカッと感は及ばずで。

更にSurlyが最初に出して来た、
唯一の26+タイヤはグリップを重んじた、
ブロックの高いモノであった為、
余計に29+とのフィーリングの差は大きかった。


この時に26+用タイヤとしてノブの低い、
Knardも用意していれば状況は違ったはず。

そんな26+の活きる場所は激しいトレイルであり、汎用性が高い規格とは言えない、
けれど26+に対応さすにはフレームも新規で作らねばならない。

ファットや29+の成功例があるとは言え、各車両メーカーは二の足を踏んだ。
「此処に手を出すべきか?」と。
そして時を同じくしてあるブランドが動いていた・・・そうWTB
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29インチ、26インチのセミファットと来て、
次に27.5インチセミファットが来るのは、
当然の流れである訳で、
そこに対しWTBが先手を打ったのです。


しかしただ27.5セミファットを作った所で、
シーンが反応を返してくれるとは限らない、
と言うか26+の二の舞になるやもしれない。

それに対するWTBの秘策が、
WTBの伝統でもあるモヒカン形状のトレッド。

「27.5インチ径 x 2.8インチ幅」
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2.8幅のセミファットとしながらも、
サイドノブを張り出させ無い事で、
タイヤクリアランスに余裕を持たせ。

専用フレームを用意せずとも、
一般的な29erフレームで呑み込める、
そんな絶妙寸法で提案して来たのです。

この事はセミファットに関心を持つ人々だけでなく、
29erに乗りながらも「もっと下りで遊べたら・・・」と考える人々の興味を惹く事にもなり、
2016年モデルとして各社から続々「27.5+」モデルがリリースされる結果に。


上手い!実に見事な戦略です!
何が上手いってまず前述した「今までの29erフレームに入る事」と、
その専用タイヤTrailBlazerの¥8,000という「割安な価格設定」

まずコレで27.5+規格を流れに乗せた上で、
次に出て来るのは27.5+専用フレームであり、
それ等が担うのは27.5+規格の本当の狙いである・・・。
「27.5インチ径 x 幅3.0~3.4インチ」という層。
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DMRから「再発射」されて来るNew・Trailstarや、
先日展示会で見てきたManitouのセミファット用フォーク・Magnumなどをはじめ、
27.5+をメインストリームに押し上げるスタッフが次々と出て来る事でしょう。


と、此処までがセミファット興隆の流れであります。
さぁコレからは27.5+の時代だよ、チャンチャン・・・と行けば良いけど。

再度振り返ってみるとですね、そもそも我々日本人が29erに対して感じていたネガは、
ホイルが大きい事によるジオメトリの自由度の低さだと思うんですよ。
勿論、使い方によっては身長165cmでも何の問題も無いのでしょうが、
ことトレイルでぶっ飛ばす的な使い方となると・・・ねぇ?
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んで27.5+のタイヤ外径は、
29x2.1に近い大きさとなりますので、
29erと同じ問題に直面せざるを得ないし、
更にそこに140mmストロークだ何だとなると、
体格や使用状況によると持て余す可能性も。

この辺、リジッド前提の29+では無かった問題で、
27.5+をリリースする各社の手法が興味深い。


そんな主流の横で、動きの無かった「26+」も、
待望のKnard26x3.0が来月上旬にも日本上陸。

勝敗の趨勢はもう決まったかとも思えるセミファット戦国時代ですが、
まだまだ気を抜くには早い、と個人的には観じておったりするのですよ。


終劇。
by kaleidocycle | 2015-10-29 18:32 | 駄情報
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