数年前では「増えるのか?それとも早々に消えるのか?」
と、心配された29erですが、その高効率な走行性で評価を受け、
今や不動の規格として、定位置を得た様に観じます。
ただ、「身長の低い人には、メリット以上にデメリットが有る」という点については、
微妙に曖昧なまま置いてかれている様にも思います。
文句言うなら犬でも言える。だから、その問題に対する一つの答を示そうじゃないか、
という事で、企画・作製された「
EBS TRIP」。
「サスペンション装着を前提にせずヘッド位置を下げる事」という、
日本人向け設定にした為、適正なポジションが出し易くなっただけでなく、
ご覧の通りのバランス良いプロポーションを可能としました。
因みに、このサドル高、ハンドル位置のままで、身長155~160cm程度の方に適応します。
他の29erと並べてみると、
遠近法みたい。
左は、Salsaの29erツーリングバイク「ファーゴ」の22インチ。
コイツぁまた極端にデカいのですが、共に29erホイルを綺麗に飲み込んでいます。
さてこの
TRIP、エンド部分が凝った事になっており、
ご覧の通り、
スインガーエンドに。
コレにより、
シングルギアにも、
マルチギアにも、
どちらにも出来る。
シングル時には、
クイックでホイル脱着可。
このエンドも、
パラゴン製などでは無く、
オリジナルで製作。
BBを腹下から覗くと、
プリンとした、大きなハンガラグ。
ロード用のラグに見慣れた中では、
違和感を感じる程にポッテリ。
パイプ自体も、ポッテリ太い。
フルリジッドとはいえMTB。
カイセイ製の太い各チューブを、デッドストックのラグで組んで、
オリジナルスインガーエンド採用した、フルリジッドのディスク専用29erフレーム。
字で書くだけでも濃厚な、隙間狙いのヘンタイフレームですが、
そんな細かい仕様の事より、何より重要なのは、
このフレームが身長175cmまでの人間に向けて
のみ造られているという事実。
29erの、身長の低い人への具体的なデメリットは、
「適正な乗車姿勢を取り辛い」という点に尽きます。
つまり、身長の低い人が適正なサドル高にした際、
相対的にハンドル位置が高くなってしまうと言う事。
角度のついたステムを天返しすれば、ハンドル位置を下げる事が出来ますが、
チョイと乗り辛くなる上、如何せん見た目のバランスが妙な事に。
そもそも背のデカイ人間が、
「フレームばっかデカくして、ホイルが小さいままで良い訳が無い!」
という事で生まれ、伸びて来た規格ですから、
如何に効率良く転がり、乗り越えるホイルであろうが、
背の低い日本人に対しても、同じ様にメリットを与えてくれるとは限らない。
そら当然の事。
でもやっぱ、29erって乗れば良くて、羨ましいというのも事実。
だから、TRIPの様なモノは選択肢として必ず必要だと思います。
EBSではこんなモノを造って居ります。
TRIPは、この現在のラグドモデルから、来月製作分よりTigモデルへと変更致します。
理由としては3点。
・ラグの残数が無くなった事。
・価格を下げたい事。
・軽量化したいという事。
ただ、メリットと引き換えに、
ラグやエンドの醸し出す「唯一無二感」や、独特の雰囲気、
そういう部分は、残念ながら失ってしまう所です。
ラグドにグッと来る人は、今の内に検討して下さいませよ。